登録支援機関 まとめ
2024年08月19日
外国人が日本で働くにあたって、外国人労働者の支援をするのは採用企業の他にもあります。
特定技能で外国人採用を考えている企業の代わりに外国人を支援する「登録支援機関」という機関があります。日本で特定技能ビザで働く外国人のために、支援計画の作成や実施を行います。
登録支援機関になるためには、出入国在留管理庁に申請し、登録を受けることが必要です。
この記事では登録支援機関について、機関の概要やなるための要件、登録拒否事由等を解説していきます。
登録支援機関の概要について
登録支援機関とは
特定技能1号と特定技能2号の外国人を受け入れるにあたって、外国人の生活を支援する必要があります。
その支援は「特定技能所属機関」という外国人を受け入れる企業が行います。
しかし、支援に対する知識や経験が不足していると、特定技能所属機関だけでは対応が難しい場合があります。そういった場合に登録支援機関が支援を行います。
支援体制が充実してる業界団体、民間法人などが登録しており、外国人の生活支援に関する知識や経験が豊富です。
特定技能制度の義務的支援10要件
①事前ガイダンスの提供
雇用契約締結後、在留資格認定証明書交付申請前又は在留資格変更許可申請前に、労働条件・活動内容・入国手続・保証金徴収の有無等についてを対面・テレビ電話等 で説明すること等
②出入国する際の送迎
入国時に空港等と事業所又は住居への送迎 帰国時に空港の保安検査場までの送迎・同行すること等
③住宅確保・生活に必要な契約のサポート
連帯保証人になる・社宅を提供する等 銀行口座等の開設・携帯電話やライフラインなど各種手続きの支援等
④生活オリエンテーション
円滑に社会生活を営めるよう日本のルールやマナー、公共機関の利用方法や連絡先、災害時の対応等の説明等
⑤公的手続き等への同行
必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行、書類作成の補助
⑥日本語教育の機会の支援
日本語教室等の入学案内,日本語学習教材の情報提供等
⑦相談・苦情への対応
職場や生活上の相談・苦情等について、外国人が十分に理解すること ができる言語での対応、内容に応じた必要な助言、指導等
⑧日本人との交流促進の機会の提供
自治会等の地域住民との交流の場,地域のお祭りなどの行事の案内や参加 の補助等
⑨転職支援(自己都合は除く)
受入れ側の都合により雇用契約を解除する場合の転職先を探す手伝いや、推薦状の 作 成等に加え、求職活動を行うための有給休暇の付与や必要な行政手続の情報の提供
⑩定期的な面談や行政機関への報告
支援責任者等が外国人及びその上司等と定期的(3か月に1回以上)に面談し、労働基準法違反等があれば通報
上記の全てを受入れ企業が担うには大きな負担となる為、登録支援機関として認定を受けた企業や個人事業主に上記の支援を委託・一部委託することができるのです。
登録支援機関を利用することにより、上記の支援に加え、特定技能1号の外国人の採用に関する情報提供や労務・複雑なビザ申請等の法務のサポート、適切なマッチングなど、登録支援機関によっては多岐にわたるサービスも委託することが可能となり、外国人雇用に対する負担を軽減することができます。
登録支援機関の役割
登録支援機関の役割は様々です。
外国人が日常生活や社会生活、仕事などで困らないように、外国人が理解できる言語で支援を行います。
その外国人にとって母国語が良いのか、英語が良いのか、日本語でも問題無いのか把握しておく必要があります。
支援状況に関する書類は、特定技能所属機関との契約が終わってから、1年以上保存しておかなければいけません。
また、支援責任者及び1名以上の支援担当者を設置する必要があります。支援責任者が支援担当者を指名することも可能です。
責任者及び担当者は、1号特定技能外国人の監督の立場で無い人物から選任される必要があります。
中立的な立場から支援を行う必要があるからです。
1号特定技能外国人の監督者が定期的に面談を行えるように、体制を整えていなければなりません、
特定技能所属機関に対し、適切な助言や指導を行うことも必要です。
登録支援機関が行う届出
登録支援機関は、地方の出入国在留管理局に提出しなければならない書類が4つあります。
登録事項に変更があった際は、14日以内に届出書を提出する必要があります。事業主の名前が変わった場合、法人なら登記事項証明書、個人事業主なら住民票のコピーを添付します。
支援業務が休止、又は廃止した場合は、休止日及び廃止日から14日以内に届出書を提出しなければなりません。
支援業務の一部を休止又は廃止する場合は、登記事項変更に係る届出書も必要になります。
休止又は廃止していた支援業務を再開する場合は、再開予定日の1カ月前に届出書を提出する必要があります。
支援計画の実施状況に関しては、3ヵ月ごとに報告書を作成して所在地の入国管理局に提出します。期間内に外国人が帰国した場合であっても、提出が必要です。
登録支援機関を利用するメリットは?
その他にも登録支援機関を利用するメリットについては、以下の様な理由が挙げられます。
労務の負担の軽減
外国人の雇用にはビザ申請等の煩雑な労務や法務の手続きが伴いますが、登録支援機関はそれらの手続きをサポートします。これにより、企業は労務や法務の負担を軽減し、効率的な採用プロセスを進めることができます。社員が本来の仕事に集中 出来る環境を整えるのにも、外国人へのサポートを登録支援機関に委託するということはとても効果的な選択肢の一つでしょう。※申請の内容によっては企業が行わなければならない場合もあります。
トラブルへの対応
具体的に見ていくと、雇用する外国人からの相談というのは、日本人の雇用の相談とは違います。
ビザの手続き、生活サポートなどいろいろな専門知識を外国人の母国で行えることが必要になってくるため、自社のオペレーションではかなり負担となってしまうケースがあります。このようなケースを手厚くサポートし、外国人雇用に生じる大きな負担を軽減してくれる=自社社員が本来必要な業務に集中できることが登録支援機関を利用するメリットといえます。また、第三者という立場でのアドバイスは受入れ企業にとって心強いものとなるはずです。
登録支援機関を利用するデメリットはあるのか?費用は?
登録支援機関を利用している企業の声で、よく聞こえてくるのが【結局コストが高くなってしまった・・】というものになります。
気になる費用ですが、登録支援機関によるものの、ほとんどは月額制となるため、平均して1名につき月額3万円前後が相場となります。
そのため、基本的な費用だけで1人につき年間30万円はコストがかかってきます。
その他にオプション費用として各サポート内容によって追加料金がかかってくることがほとんどです。
結果的に高く感じてしまう受け入れ企業もあるようですが、日本人では雇用が集まりにくい職種でも採用ができるという大きなメリットもあり、慢性的な人手不足に陥っている業界では今後の外国人雇用と併せて登録支援機関の利用はよりスタンダードになっていくと考えられます。
日本人の採用を考えた場合でも、採用広告にかかる費用もそれなりに高額となり、人口減少が加速している中で年々争奪になることは必須です。
特定技能分野拡大も登録支援機関利用を後押し?
特定技能には1号と2号の2種類があり、支援義務が求められるのは1号のみです。今までの特定技能制度では特定技能2号が「建設」「造船」の2分野しか認められていませんでしたが、現在分野の拡大が発表され運用開始を待つのみとなっています。
<拡大が決まった分野>
ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業
特定技能2号を取得すれば在留期間にも制限がなくなり、現在登録支援機関に支払っている費用が不要になります。
また、多くの業界では5年と定められていた就労期間の制限がなくなり、ほぼ半永久的に特定技能2号として外国人を雇用することが可能となります。外国人にとっても大きなモチベーションとなるであろう制度の拡大ですので、長期雇用を目指し、特定技能技能2号取得を前提に外国人の育成をすることも大きなメリットとなってくるでしょう。
自社対応でコストカット!登録支援機関に登録するには?
まとまった人数の外国人雇用者の支援を受ける場合、登録支援機関に支払う総額費用が非常に高くなってしまうことがあります。その対策として、登録支援機関に登録し、自社で対応するという選択肢もあります。
登録支援機関として承認をうけるには、出入国在留管理庁への申請・登録が必要です。
登録支援機関になるために必要な要件
以下の7つの要件を満たす必要があります。
1.支援責任者及び1名以上の支援担当者がいること
2.以下のいずれかの実績や経験があること
個人又は団体が、2年以内に就労資格を持った中長期在留外国人の受け入れをした実績がある。個人または団体が、2年以内に外国人に関する相談業務を行った経験がある。支援責任者及び支援担当者が、過去5年以内に2年以上就労資格を所持している中長期在留外国人に関する生活相談業務を行った経験がある。又は、上記の業務と同程度に支援業務を行うことが出来ると認められている
3.外国人が理解できる言語で支援する体制が整っている
4.1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人または、技能実習生の行方不明者を発生させていない
5.支援の費用を、直接的又は間接的に外国人に負担させていない
6.刑罰法令違反による罰則を受けていない
7.5年以内に出入国または労働に関する法令に関し、不正又は著しく不当な行為を行っていない
登録支援機関の登録拒否事由について
登録支援機関になるためには、登録要件を満たしているだけで無く、登録拒否事由に当てはまっていないことが必要です。
登録拒否事由に当てはまっていなければ、法人だけでなく個人としても登録が認められます。
13個の登録拒否事由
登録支援機関になるためには、登録要件を満たしているだけで無く、登録拒否
事由に当てはまっていないことが必要です。
登録拒否事由に当てはまっていなければ、法人だけでなく個人としても登録が認められます。
1.関係法律による刑罰に処せられ、その執行を終わり又は執行を受けることが無くなったひから5年を経過しない者
2.心身の故障により支援業務を適切に行うことが出来ない者、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者等
3.登録支援機関としての登録を取り消された日から5年を経過しない者(取り消された法人の役員であった者を含む)
4.登録申請の日前5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し不正または著しく不当な行為をした者
5.暴力団員等暴力団排除の観点から定める事由に該当する者
6.受け入れ期間や技能実習制度における実習実施者等であった場合において、過去1年間に自らの責めに帰すべき事由により行方不明者を発生させている者
7.支援責任者及び支援担当者が選任されていない者(支援責任者と支援担当者との兼任は可)
8.次のいずれにも該当しない者
ア)過去2年間に中長期在留者の受け入れ又は管理を適切に行った実績があること
イ)過去2年間に報酬を得る目的で業として本邦在留外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有する者であること
ウ)支援責任者および支援担当者が過去5年以内に2年以上中長期在留者の生活相談業務に従事した一定の経験を有する者であること
エ)ア~ウと同程度に支援業務を適正に実施することが出来る者であること
9.外国人が十分理解できる言語による情報提供・相談等の支援を実施することが出来る体制を有していない者
10.支援業務に実施状況に係る書類を作成し、雇用契約終了日から1年以上据え置かない者
11.支援責任者又は支援担当者が一定の前科がある等の欠格事由に該当する者
12.支援に要する費用を、直接又は間接に外国人に負担させる者
13.支援委託契約を締結するに当たり、受け入れ機関に対し、支援に要する費用の額及び内訳を表示させない者
登録支援機関として申請するために必要な書類
登録支援機関に登録をするために、必要な書類を以下に紹介します。
・手数料納付書
▶︎新規登録の場合は、2万8400円、登録更新の場合は1万110円の収入印紙を貼付し
ます。
・登録支援機関登録申請書
・登録支援機関概要書
・登録支援機関誓約書
・支援責任者の就任承諾書及び誓約書
・支援責任者の履歴書
・支援担当者の就任承諾書及び誓約書
・支援担当者の履歴書
・支援委託手数料に係る説明書(予定費用)
・法施行規則第19条21条第3号ニに該当することの説明書
・法施行規則第19条21条第3号ニに該当することの説明書に係る立証資料
・返信用封筒(結果の通知送付用)
▶︎角型2号の封筒を使い、440円分の切手を貼付します。
三つ折りでの返信で差支えない場合は、404円分の切手を貼付した長形3号封筒を使います。
(申請者が法人の場合に必要)
・登記事項証明書
・定款又は寄附行為の写し
・役員の住民票の写し(マイナンバーの記載が無く、本籍地の記載があるものに限ります)
・登録支援機関の役員に関する誓約書
(申請者が個人事業主の場合に必要)
・住民票の写し(マイナンバーの記載が無く、本籍地の記載があるものに限ります)
・主たる事務所の住所に係る立証資料(賃貸契約書の写し、所得税の個人事業の開業届出書(控え)の写し、納税地の異動又は変更届出書の写しなど)
登録支援機関の登録に必要な書類は、出入国在留管理庁のホームページから、必要書類の一覧を確認することが出来ます。
一覧には提出確認欄があり、書類の有無をチェックすることが出来ます。不足している書類を確認する際にご活用下さい。原本の提出が求められる書類については、発行(作成)後3ヵ月以内の物に限ります。
登録支援機関の登録申請は郵送でも可能です。
郵送により申請する場合は、封筒の表面に「登録支援機関申請書在中」と朱書きして下さい原則として、書留(対面で届き、受領印又は受領の際に署名を行い、信書を送ることが出来る方式)で行って下さい。
提出先は、地方出入国在留管理局又は同支局です(空港支局や出張所は除きます)。お問い合わせの際は、地方出入国在留管理官署又は、外国人在留総合インフォメーションセンターにご連絡下さい。
受付時間は、平日の午前9時から12時、及び午後1時から4時までです。手続きによっては曜日や時間が指定されている場合がありますので、地方出入国在留管理官署又は、外国人在留総合インフォメーションセンターにお問い合わせください。
登録拒否事由に該当しないと認められた場合は、登録支援機関登録簿に登載され、登録支援機関登録通知書が交付されます。
登録の有効期間は5年間です。
登録拒否事由に該当すると認められた場合は、登録拒否通知書が交付されます。
https://www.moj.go.jp/isa/content/930003949.pdf
参照:「登録支援機関の登録申請」出入国在留管理庁
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri07_00183.html
登録支援機関の対応言語や、規模、実績を比較して信頼のできる登録支援機関を選ぶのはもちろん、外国人雇用にかかってくるコストをよく理解し、外国人の長期雇用と受け入れ企業の成功ににつなげていきたいものです。
もし外国人を採用したいと考えている場合は、まず登録支援機関に相談してみる、登録をし、スタートに備えて準備しておくのも良いでしょう。
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