【外国人労働者雇用調査】(2024年07~12月)週28時間制限がある在留資格の外国人求職者のリアル|企業が知らない採用の可能性(留学生・家族滞在・特定活動 / ワーキングホリデー除く)
外国人求職者2025/04/17

調査概要
⚫︎調査手法:データ分析、求人・応募・採用データの集計
⚫︎調査対象:日本国内の週28時間制限がある在留資格の外国人求職者(留学生・家族滞在・特定活動ビザ保持者)
⚫︎データ取得期間:2024年7月〜2024年12月
⚫︎有効回収数:12,584件
調査の背景
近年、日本の労働市場では人手不足が深刻化しています。その中で、外国人求職者の活用が不可欠となっていますが、多くの企業は「週28時間制限がある在留資格の外国人(留学生・家族滞在・特定活動)」に対し、「採用が難しい」「活用しにくい」と考えているのが現状です。
しかし一方で、短時間シフトを柔軟に埋められる人材として、これらの外国人求職者に高い需要があるのも事実です。特に、飲食・物流・小売などの業界では、限られた時間の中でも戦力となる人材として採用が進んでいます。
今回の調査データを基に分析すると、28時間制限があっても採用の可能性は十分にあることが明らかになりました。
本コラムでは、実際のデータをもとに、求職者の特徴や採用成功のポイントを解説します。
週28時間制限がある在留資格の外国人求職者とは?
日本で働く外国人の中には、法律によって週28時間の就労制限が設けられている人々がいます。
主に以下の3つの在留資格が該当します。
- 留学生ビザ:
日本の大学・専門学校などで学ぶ学生が、学業と両立しながら働くケース。
- 家族滞在ビザ:
日本で働く外国人の配偶者や子どもが取得するビザで、パートタイムの仕事が可能。
- 特定活動ビザ:
インターンシップなどの特定の活動目的で日本に滞在している外国人。また、日本の大学を卒業し、就職活動中の外国人も含まれるため、高いスキルや専門知識を持つ求職者が多い。
これらの求職者は、フルタイム勤務はできないものの、日本での生活を補うために積極的に仕事を探しています。
企業が考慮すべき雇用上のポイント
・週28時間以内の労働時間でシフトを調整する必要がある
・短時間勤務でも戦力として活躍できる業務を選定する
・日本語レベルに応じた職種配置を検討する
週28時間制限がある在留資格の外国人求職者の主な出身国は?

28時間制限がある在留資格の外国人求職者は、どの国の出身者が多いのか?
週28時間制限がある在留資格の外国人求職者は、どの国の出身者が多いのか?
調査データによると、
1位 ネパール (32%)
2位 スリランカ (12%)
3位 ミャンマー (10%)
4位 バングラデシュ(6%)
5位 インド (6%)
6位 フィリピン. (5%)
7位 パキスタン. (5%)
といったアジア圏(東南アジア・南アジア)の国々の求職者が多いことがわかりました。
地域ごとの特徴と雇用のポイント
南アジア圏(ネパール・スリランカ・バングラデシュ・インド・パキスタン)
→来日直後から飲食・製造・倉庫作業に従事する人が多い
東南アジア圏(ミャンマー・フィリピン・ベトナム・インドネシア)
→接客・介護などのサービス業に興味を持つ人が多い
欧米圏・アフリカ圏
→割合は少ないが、専門職を希望する傾向がある
週28時間制限がある外国人求職者はどの程度の日本語が話せるのか?

データによると、日本語レベルは以下のようになっています。
少し話せる … 21%
ベーシック … 47%
日常会話レベル … 24%
流暢 … 4%
ビジネスレベル … 5%
日本語力と業種の関係性
・日本語レベルが高い求職者は、接客・事務・営業などの職種に適している
・日本語が話せなくても対応可能な業種(倉庫・工場・清掃・建設など)は、積極的に採用されています。
週28時間制限がある外国人の応募が多い業種・採用が進んでいる業種

📌求職者が関心を持っている職種ランキング
1位. 工場 … 36%
2位. 倉庫 … 19%
3位 飲食店 … 6%
4位 ホテル … 5%
5位 観光業 … 5%
6位 オフィス業務 … 4%
7位 建設 … 4%
8位 空港 … 4%
9位 介護 … 2%
10位 清掃 … 2%
実際に採用されやすい業種の特徴
・倉庫(31%)・建設(17%)が特に採用が進んでいる
・飲食店・オフィス業務・病院・ホテルも採用が進んでいる(各10%)
・造園や介護などの業種でも一定の採用実績がある
企業はどのように採用基準を見直すべきか?
・週28時間のシフト調整がしやすい職種で優先的に採用
・言語能力が低くてもできる業務を整理し、マニュアル化する
・多言語対応のサポート体制を導入し、円滑な職場環境を作る
週28時間制限がある在留資格の外国人求職者を活用するポイント
どの業種・職種なら活躍できるのか?
・倉庫・工場・建設:業務が明確で指示が単純なため、日本語レベルが低くても問題なし
・飲食・ホテル・観光業:インバウンド需要が高く、外国人対応のスキルを活かせる
・介護・清掃・警備:短時間勤務が可能なため、シフト調整しやすい
シフト調整や勤務管理の工夫
・週28時間の範囲内で複数のシフトを組み、継続的に働ける環境を作る
・短時間勤務の求職者を複数雇用し、業務の分担を行う
外国人採用の成功のためにできる工夫
・雇用契約書に英語を併記する(給与や勤務条件を明確にし、入社後のトラブルや認識の齟齬を防ぐ)
・多言語対応のマニュアル整備(日本語が苦手な人でも業務を理解しやすくする)
・外国人向けの研修制度の導入(労働文化やマナーを教えることで定着率を向上させる)
・オンラインでのシフト管理(雇用主と求職者の負担を軽減)
まとめ :週28時間制限がある在留資格の外国人求職者をどう活用する?
本調査から、週28時間制限がある在留資格の外国人求職者は、工場・倉庫・建設などの業種で採用が進んでいることが明らかになりました。一方で、ホテル・飲食・観光業などのサービス業にも関心が高く、企業の採用戦略次第で活用の幅が広がる可能性があります。
企業は、「言語スキル」「業務適性」「シフト管理」の3つの視点で採用基準を見直すことで、限られた労働時間の中でも効果的に外国人労働者を活用し、人手不足の解決につなげることができるでしょう。